「はあ……」

 道行く人々を眺めながら深い溜息を吐き出す。

 やっと会えたけど、何を話していいか解らない……想いが強くて、何から話せばいいのか解らない。

「!」

 そんなナユタの視界に、暗めのスーツとサングラスをかけた2人の男が歩み寄ってきた。

 怪訝に思いながら見ていると、自分を目指している事に気がつく。

 壁のように立たれ、尻込みした。

 サングラスをしていても、日本人だということは解る。

「お嬢さん」

「はい?」

 嫌な予感で背筋がゾクリとした刹那──視界の端から飛び出してきた影が、ナユタに掴みかかろうとした男の腹に肘鉄をかましていた。