「! あ、ありがとう」

 受け取って再び彼に視線を移す。

「このモデルは何丁か回ってきたが、もういくつか出しちまってる」

「残っているものを見せてもらいたい」

 ナユタは、ベリルと店員とのやり取りを見つめた。

 どうしようかな……どうせこのまま待っても、また逃げられるような気がする。

 ナユタは逃がしたくないと思いつつ、自分の感情に行き場を失って外の空気を吸いに入り口に向かった。

「ここにいればきっと出てくるよね」

 つぶやいて、大きく深呼吸した。