「あの、弟に頼まれて受け取りに来たんですけど……」

「ああ……じゃあ名前と住所ここに記入してくれる?」

 ナユタは言われた通り、手渡された紙に記入していく。

「いらっしゃい」

 客が入ってきたようで、カウンターの男が声を上げた。

「すまないが」

「!」

 記入していたナユタはその声にハタとしてペンの動きを止め、聞き覚えのある声なんだけど……と思って声のした方に顔を向けた。

「……」

「……」

 ベリルとナユタは無言でしばらく見合う。