そんな評価とは裏腹に、アユタはゲーム好きが講じてすでにマニア並でありついでに言えば空手も出来る。

 才色兼備とはよく言ったもので、姉のナユタはすでに弟には敵わない。

 ナユタも芸能界などにまるで興味もなく日々、就職活動に汗を流していた。

「大学に行けば良かったのに」

「勉強はもう嫌なの」

 発したナユタに眉をひそめる。

 本当は忘れたくても忘れられない人がいて、必死に忘れようとしてるくせに……アユタはチラリとリビングテーブルに置いてあるナユタの携帯を一瞥した。

 来ない電話を待ち、来ないメールをひたすらに待ってる。