朝──ナユタは物音に目を覚ました。

「?」

 何やら玄関の方で話し声がする。

 シーツで体を隠して起き上がると、カタカタと小さな音が聞こえてきた。

 ベリルとは違う気配に、慌てて体を隠し壁からそっとのぞき込むと昨日のベルパーソンがワゴンを押してリビングに向かっている。

 漂ってくるこの匂いは、食べ物?

 ルームサービスを頼んでくれたんだ……ナユタは男性が出て行くのを確認して、料理を見にリビングテーブルに歩み寄った。