「!?」

 危ない!? ナユタが叫ぼうとした瞬間──突き出されたナイフをかかと落としで蹴り落とすベリルの姿に目を丸くした。

「ひっ!?」

 痛みで手を押さえる神崎の鼻先に黒い塊が突きつけられ、引き気味に声を小さく上げる。

 テレビではよく見慣れた形状だが、それが自分に向けられている恐怖をまざまざと感じ体の震えが止まらない。

「……」

 男の狼狽振りにさしたる関心を示さず、静かに見つめて引鉄(ひきがね)に手をかける。

「に……偽モンだろ?」

「試してみるかね」

 引鉄は徐々に絞られ、神崎とナユタは息を呑む。