どうしてこういう時だけ大胆になる、もう少し躊躇(ためら)ったらどうなのだ。

 さすがに自分から寝室には行かないだろうと考えていたベリルの予想を、ナユタはモロくも打ち砕いた。

 どいつもこいつも……深い溜息を吐いて頭を抱えるベリルを見て、ナユタは足早に寝室を目指す。

 折角アユタがくれたチャンスを逃がしちゃだめ! と意気込むが、果たして小学生の弟がここまで考慮していたかどうかは疑問である。

 再び溜息を吐きつつ立ち上がる彼を待つ。

「もう一度訊くが……」

「訊かなくてもいいよ」

 スッパリと斬り捨てると、ベリルの瞳がにわかに憂いを表した。

「ごめんね……」

 小さくつぶやく。

 あたしのために言ってくれてるのは解ってる……だけど、信頼できる人が初めての方がいい。

 そう思えるの。