「てっ、てめ……。っ!?」

 痛みをこらえてパンツのバックポケットに手を回した神崎よりも速く、目の前にナイフの切っ先が突きつけられていた。

「……っう」

 声も出せずにベリルを見やると、その瞳は冷たく背筋がゾクリとした。

「武器を持つ覚悟はあるのか」

 淡々と告げられた言葉に、神崎は生唾を飲み込んだ。

 小柄な体から漂う雰囲気は

「まともな人間じゃない!」と思わせるほどに鋭く突き刺さってくる。

 彼にとって、それは初めての屈辱だったのだろうか、軽く舌打ちして奥歯を噛みしめた。

「うるせぇ!」

 神崎は必死に声を振り絞り、バックポケットから取り出したバタフライナイフをベリルに向ける。