「13時か」

「! あ、うん」

「腹は減ったか」

「え……」

 呆けているナユタに、あごで「ついてこい」と示す。

 どこに行くのかさっぱり解らないけれど、ナユタは素直に後ろをついていった。

 なんだか気まずくて戸惑いながら背中を追いかけていると、立ち止まってくれている。

 待たせちゃ悪いと足早に駆け寄り、次はどこに行くのかやや見上げていたとき、肩を抱かれて叫びそうになった。

 ベリルは走ってくるタクシーに軽く手を挙げ、止まった車に促される。

「インペリアルホテルに頼む」

 タクシードライバーはそれを聞いてドアを閉めた。

 インペリアルホテルって、確か高級ホテルじゃ……ナユタは呆然と彼の横顔を見つめる。