「あ、あたしは……別にいい……から」

「! 姉ちゃん! ちゃんと言わないとだめだよ! また待つつもり? もう会えるかどうかわかんないんだよ」

「!?」

 その言葉にナユタは体を震わせて目を潤ませる。

「母さんたちにはオレから言っとくから」

 とアユタは姉の背中をグイと押してベリルの前に立たせた。

「それじゃよろしく!」

「えっ!? ちょっ……アユタっ?」

 全力疾走で去っていく弟の後ろ姿に驚いて求めるように手を伸ばすが、ものの数秒で少年は消えてしまった。

「……ごめんなさい」

 ベリルに向き直り、視線を合わせず発する。