「宝箱取ったから帰るの?」

「! アユタ」

「どういう意味だ」

 ふいにかけられた少年の言葉に眉をひそめる。

「姉ちゃんの気持ちなんてどうでもいいんだろ?」

「アユタ! やめて……」

 表情の無いベリルに、アユタは負けじと口をへの字にして視線を外さなかった。

 そんな少年に目を細め、ナユタを見やる。

「姉思いなのだな」

「え……あ……」