「今日こそは逃がさないぜ」

 青年はそう言って、持ち手にあるスイッチをカチリとONにした。

「!? があっ」

「ベリル!?」

 バチッ! という電気が弾けるような音がしてベリルが片膝をつく。

「電流……?」

 駆け寄ったナユタが彼の体に触れたとき指が痺れて目を丸くした。

「お嬢ちゃん、そいつから離れな。気絶しちまうぞ」

 勝ち誇ったように鼻を鳴らす男をナユタは、キッと睨み付けた。

「あなた! 名前はっ」

「え? 橘 章(たちばな あきら)だけど」

 いきなり訊ねられて思わず応える。