そうか……ベリルにとっては殺すような人じゃないんだ。

 例え、自分が狙われていたって殺すほどの人じゃない。

 でも、それじゃあ優しすぎるよ……だからみんな、あなたの優しさにつけあがって、調子に乗って……。

 この人だって、ベリルが殺さないって解ってるからこんなにも軽く捕まえようとしてるんだ。

 追いかけられて捕まえられるっていうコトの辛さとか恐ろしさとか、ちっとも解っちゃいないんだ。

 ああ、なんだか腹が立つ。

 ムカムカするよ──それでも、自分にはどうすることも出来ないもどかしさにナユタは涙をこらえた。