今まで何度となく向けられた感情──恋愛という感情が欠如しているベリルにとって、向けられる恋心は少なからず彼の胸に痛みを与えていた。

 その揺るぎない事実を述べても彼女たちは笑って、

「構わない」とささやく……その度に、彼は瞳に憂いを湛えて語るのだ。

『死なない相手を好きになるのは不幸だよ』

 それでも諦めきれず、一夜限りのつながりを求める女性も少なくはない。

 元々、子どもの作れない体だ。

 それについては何一つ心配する要素は無いが、彼は求める女性の事を考えて何度も聞き返す。

 一夜限りの出来事が、全てのちに良い思い出になるという確証は無いのだから。