「私は迷惑だとは感じていない」

 良く通る声と柔らかなエメラルドの瞳──そして、その温もりが彼女の緊張を解きほぐし、固まっていた手がするりと落ちる。

「お前にはお前の力がある。比べるものではない」

 彼女を見下ろし、静かに語る。

「あたしのチカラ? あなたに迷惑かけたこと?」

「迷惑だとは……まあ良い」

 言葉を切ってナユタの頭を優しくなでる。

「比べるならば己の違いを探す事だ」

「違うところ?」

「同じものを競うのではなく、違いを探し活かす方向に向けると良い」

 そういう方法もあるのだから……と、つぶやき再び額にキスをして立ち上がった。