9時を少し過ぎた頃、アユタは眠くなってきたのかあくびを繰り返すようになる。

「ほらほら、もう寝なさい」

 母が息子の背中を叩く。

「ん~……ベリルと寝る」

「あらまあ。すっかり懐いちゃって、ごめんなさいねぇ」

「いえ」

 裾を掴んで離さないアユタに、彼は苦笑いを浮かべた。

 そして、眠気でフラフラになっている少年を抱きかかえる。

 歯はすでに磨いているため、そのまま2階に上がっていく。