「あらあら、包丁も上手いのねぇ」

 あっという間に皮を剥き、切り分けるその手際の良さに母は感嘆した。

 切り分けられた人数分のフルーツボウルをトレイに乗せてリビングに運ぶ。

 さすがのアユタも母の前では彼の仕事関係の質問は出来ず、黙々とフルーツを食べていた。

「ベリルさんはどこにお住まいなの?」

「オーストラリアに住んでいます」

「そうなの~」

「オーストラリア行ってみたい!」

「世界一の一枚岩があるとこですよね」

「うむ」

 ベリルは柔らかい笑みを浮かべた。

 きっと彼は、オーストラリアがスゴク好きなんだな……ナユタはベリルの表情に自分も笑顔になった。