「……」

 ナユタは、なんとなく気になって風呂場の前でふと立ち止まる。

 なんなんだろう、この悶々とした感覚……女にもこんな感覚あるのか。

 と、自分の思考に呆れるばかりだ。

「はいはい、どいて」

 そんなとき、母が嬉しそうに替えの下着を持って脱衣場の扉に手をかけた。

「!」

 ナユタは、その下着を見てあっけにとられる。

「下着ここに置いておきますから~」

 という母の声のあと、風呂場の中から

「すみません」とガラス越しのくぐもった声が聞こえた。