そこにいたのは、髪を金髪に染めた男。

 迷彩のチノパンを履き、ガムを噛みつつナユタを見下ろす。

「おまえ、いまオレ見て逃げた?」

「え、ううん。そんなことないよ」

 引きつる笑顔で応える。

 それが気に入らなかったのか、男は舌打ちしてナユタを殴りつけた。

「……っいた」

「おまえ、ずっと断ってたよな」

 当り前じゃない、タイプじゃないんだもの……左頬を押さえて男を見やり、視線を伏せた。