幼い頃に吹き荒れる花嵐の中で出会った美しいヒト

若草色の瞳はまるでビー玉のように無機質な輝きを放っていた


「きれい・・・・・・」


その瞳に吸い寄せられるようにふらりと近寄ると
彼の若草色がすっと眇められた。


あの頃は笑顔に見えたそれも今思えば柔らかな拒絶だったのかもしれない


それでもなお近付いて彼に触れようと手を延ばしたその時、彼は私の手を引いて私の項にくちづけを落とした。


「・・・可哀想に」


言葉には似つかわしくない侮蔑を含んだ笑みを浮かべて。

それに気付かなかった馬鹿な私はまんまと彼の毒牙に犯されてしまった。

その日からだった。

私の人生が狂い始めたのは。

残酷な残酷な私の初恋の始まり。