たまたまの隣接都市。 小さな恐怖は共有しているつもりでも、その実何もわかってはいない。 検討違いも甚だしい。 それはどんな災害も、事件も事故も同じだ。 あの日、姉夫婦が被災した。 からくも『大事な』何かを奪われる事はなかった。 彼女は妊娠していた。 あの日の4日後、余震の恐怖に脅えながら、電気の回復しない部屋で無事に出産を遂げた。 あの日産まれた彼も、もう13歳になる。