「意外と早かったな」

テーブルにいる真鶴さんがキッチンにいる僕に話しかけてきた。

「何がですか?」

たまごを混ぜながら僕は聞く。

「落ちる時間が」

ああ、そう言うことか。

「お前は昔から頑固だから相当時間がかかると思ったが、意外や意外」

ククッと喉で笑う真鶴さんに、訳がわからない僕。

昔から?

まるで、ずっと前に会っていたと言うような口調だ。

「そりゃ仕方ないか。

雫は中学生だったんだからな、10年以上昔の記憶なんて覚えてる訳あるまい」

中学生?

…………あっ。

思いあたることが、1つ。