帝さんのことを持ち出すとは、なかなかやる。

また黙ってしまった僕に、
「まあいい、何とかしよう」

真鶴さんは大げさにため息をつくと、腰をあげた。

「どうもお前と言うヤツは手ごわいみたいだ。

西園寺に彼女がいても、未だに片思いを続けてるくらいだからな。

俺に傾くには多少時間がかかる」

真鶴さんはまたイジワルそうに笑うと、
「時間かけてでも俺に向かせてやる」
と、言った。

「雫が俺を必要としてくれるまで、俺は何だってしてやる。

それが何時間かかろうが何年かかろうが構うまい。

それで雫が振り向くんだったら、安いものだ」

真鶴さんは最後に、
「覚悟しろよ、雫」