今日もあの人は夜の人気者。

「帝さーん、指名入りましたー!」

控え室にいる彼に僕は顔を出した。

「どうも」

ここ『Seesaw Game』のナンバーワンホスト・西園寺帝(サイオンジミカド)さんはソファーから腰をあげた。

「いつもありがとね、雫ちゃん」

いつものように僕にお礼を言うと、ホールに向かっていく。

そして、いつものテーブル席へ。

その先にいるのは、彼の恋人。

そう、彼は彼女持ちだ。

当然、僕の恋はかなわない。

とっくの昔に振られてしまったのだから。

とっくの昔に終わってしまったのだから。

だから、かなわない。