キングに対してあんな言い方をしたのは、何年ぶりだろう。
怖くて全く言えず、呑み込むことが多かったけれど、勢いで言ってしまえば言えるもの。
後が怖いけど、そんなの関係ないもん。
もう、関わらなければ良いんだし。
そう。関わらなければ……。
……帰ろう。
収穫ははしまきしかないけど。
下へは怖くて行けないけれど、来たと思う道を戻ればどうにかなりそうな気がする。
かなり怖いけれど、もう、自分でどうにかしなければずっとこのまま。
はぁー……と、つい出てしまう溜息。
「……菜月?」
『っ、』
―――静寂の中、微かに背後から聞こえた知ってる声。
体が、思わず跳ねました。
え?
ゆっくりと後ろを振り向けば、こっちを見ている視線と絡まります。
……来てくれた。
キングが、探してくれた?



