出てしまいました。
早まる心拍数。
きっとさっき突然切ったことに対してのお怒りのお電話で……
[菜月、]
……あれ?
耳が、嫌な声色を聞きたくなくて自動変換してくれてるのでしょうか?
優しい。
『……煌?』
[今どこ。]
ザワザワと聞こえる雑音。
そっちは人混みの中ですか。
羨ましい。
こっちは……見回して誰もいなくて怖くて。
『分からない……』
半泣きで返します。
[分からない?どこにいんの、]
『だから分からないってばぁー……。』
[目印くらい探せよ。……神社内にいる?]
焦る私とは反対に落ち着いているキング。
自分は人混みの安全な所に居るからって……。悔しい。
辺りを見回しても暗くて分からない。
ただ、
『内、だと思う……鳥居あるから……。』
[朱の?]
『ううん、コンクリート、だと。』



