王様の、言うとおり





もう悲しくて涙が出てきました。


たまに通り過ぎていくカップルに一瞥されて、余計にみじめな気持ちになります。



普通なら私だって彼氏とニコニコ笑って幸せな気持ちで過ごせるはずなのに。



……彼氏いないけど。



今通って行った女の人と私では何が違うのかな。


滲んで、ポロっと落ちた涙。






慌てて拭って帰ろうと決意。







こんな所にいつまでもいたってしょうがない。

帰ってアイスとお菓子祭りでもしよう。



『…………、』






帰ろう、と思うのですが。




『ココどこか分かんない……。』



ピンチ、ピンチです。


階段を降りて行った先がここから少し所々ついた明かりのお陰で見えますが通った事のない場所。




後ろを振り向けば本当にこっちから来たのかなってくらいの全く分からない道。



どこだろー……ここ。

呑気に考えてみたりもしますが、内心ビクビクです。




暗くなってきたし、本当に、怖い。



『っ、わぁ……、』


急に光りだしたケータイに驚いてしまい、出てしまった情けない声に羞恥心が。





人が居なくて良かった。本当に。


ホッとして、ケータイを見る。



『……煌……』


表示されていたのは意外にもキングでした。




あんな切り方したのに、またかけて来るなんて。



さっきの事もありますし、出ようか躊躇してしまったけれどあまりの心細さに、つい。




『………はい。』