王様の、言うとおり




目を閉じると後ろにいるみたいで怖くて、

目を開けたままシャンプーをします。




もうゆっくりする暇もなく、さっと済ませて上がると


入れ違いにキングがバスルームに入ってきました。



無言で、笑顔で。


……怪しい。

とは思うものの、力に逆らえずそのまま。



追い出されるように背中を押されて廊下に出て、

そこから見えたリビングのテレビ。




見えた瞬間、


わたしはたった今閉められたバスルームへと続くドアを叩きます。




『ちょっと!テレビ消して行って!』



まだいじめる気ですか!


テレビが点けっぱなし!


スペシャルだけあってなかなか終わりそうにない、です……。




『無理。俺もう脱いだから。』


ドア越しに聞こえるキングの声。


「ちょっと着て出てきて!」


『……。』



今脱いだばかりなんでしょ!



「ちょっと!」



叫んだと同時にバスルームのドアが閉まる音がしました。




信じらんない!

無視して入った!



テレビ消さないと電気代が勿体ないのに……。