『おっ、良い匂い。』



キングが出ていって本当に30分後。




帰ってきて一言目にキングが言いました。



言われた通りに無言、ハンバーグ作りにだけに神経を集中させての料理。



パチパチと手のひらから手のひらへの空気抜きで、まな板の上にハンバーグを落とした時は、

キングが出ていってくれて良かったと思いました。




見られてたら絶対にバカにされる。



玄関から帰ってきたキングは、キッチンに入ってきて横からフライパンを覗きます。



急に近づいた距離。



覗き込んだせいで頬に触れたキングの黒髪にドキッとしたことは気付かないふりをして手を動かします。



実は私もハンバーグ食べたいと思ってはいました。


お母さんに頼むつもりだったけど。


『スープもあるし……。』


隣の鍋の蓋を開いたキング。


美味しいかの保証はないけど、一応一通り作ってみました。



『手伝う。』


よっぽどお腹が減っていて早く食べたいのでしょうか。