そして次に眉間に皺を寄せたキングがこちらに振り向きました。



「夏休みだし……。」


何か変な事を言った?


不機嫌そうなキングに若干焦りながらも、言葉を続けました。


親戚の法事、で思ったのですが。

キングはおばちゃん家に行かないのかなぁ、と。



すると、あぁ。と体勢をまた変えて背もたれに両腕を置いたキング。



『関係ないよ、夏休みとかそんなの。親父は出張で海外。

母さんは本社から戻って来るつもり無いだろうし……
ばあちゃん家にはイトコ、にあたる奴らが行ってるだろうし。』


「あ……。」


そうなんだ。


せっかくの夏休みだから、家族みんなで過ごせたらいいのに。


家族みんな元気なのに、こうして一緒に過ごせないなんて。



男の子だから思わないのかもしれないけれど、寂しい、とは感じないのかな。



脳裏に思い出すのは、ついこの間の出来事。


〔母さん!!〕


そう言って大きな声でおばさんを呼んだキング。


キングの家は本当に複雑なんだ。



『……菜月?』


「は、……え?」


『手、止まってる。』


「あ……。」