なんでか分からないけれど、知れて良かったと思う自分がいる。
『ちゃんと話し合えば、もう被害妄想もなくなるだろうし、ああいうこともなくなると思う。』
「……そうだね。」
早く、そうなればいいけれど。
『―――そういえば。』
ちょうど火種が小さくなって落ちてしまって次の線香花火を取り出しているとキングがまた口を開いて。
『あの日、母さんのことで忘れてたけど、学校来なかったよな?』
う……。
できれば思い出してほしくなかった。
そのまま忘れといて欲しかった。
ドキっとして、手が震えるのを必死でこらえる。
動揺しちゃダメ……!
『その前からだけど、何を怒ってた?』
「別に?」
思い出した。私もおばちゃんのことがあってからすっかり鎮火してしまっていたけれど。



