思わず、ポロリと。



思ったことがでてしまってキングが私を見る。


「や、その……抵抗しようと思えばできたはずなのに、全然してなかったから……。」



キングは暴れちゃうおばちゃんと止めるだけで。



高校生の男の子。細いけれど力はあって。反撃しようと思えばいくらでもできただろうし、それなのに止めるだけだったから。





「痛かったよね。」




手首だって、背中だって。

暴れるお母さんを見ている心だって。



もし、私がキングなら、きっとどうしたらいいのか分からなくてただ一人残されたあの家で泣いてるだけだと思うから。




『別に。』




「……言って欲しかった。」