すぐに隣からも同じ音が聞こえてきて。
視線を向ければキングも花火に火をつけて飛び出る火花をじっと見つめていて。
「………。」
『………。』
「……。」
会話のない、無言の花火。
ただ、黙ってじっと花火を見つめるキング。この姿。やっぱり、いつものキングではありません。
でも、なんと話しかければいいのか分からない私は、自分の持つ花火とキングの姿を交互に見ながら、自分の花火の火が消える前に新たに花火をつけて。
ただ、花火の音しかしなくて、花火を消費して時間が過ぎていきます。
『――あとはこれだけ。』
しばらくしてやっと手持ちの花火が無くなった時。声を出してキングが私に差し出してきたのは線香花火。
『はい。』
そう言って差し出された一本を受け取ってまた、つけてくれたライターで火をつけます。
ライターに先っぽをくっつければ丸まって玉になった線香花火。
動かすと落ちるので無言で動かずにパチパチ火花を散らしているのを見つめます。
「…………。」
『………。』



