嵐が去った……キングのお母さんにそんな言い方をするのはどうかと思うけど、でも、このおわった後の静寂に安堵している自分がいる。




「……菜月。」

静かにかけられた声。



突然かけられた声にぴく、と反応して顔をあげればしゃがみこんだキングが視界に入る。




「大丈夫?」

『あ……うん。』




「顔、強張ってる。」




『っ……、』




すっと冷たい指先が頬を滑った。

キングが来てほっとした、

と思ったのに。顔は強張ったままらしい。

指摘されて気付いたけれどどう戻したらいいか分からなくて。

そのまま固まれば腕を掴まれて体勢を起こされる。




「ケガは?」


前のめりになっていた物をぺたんとお尻をついて座った所でキングが眉をひそめて私を見つめる。




『大丈夫。』

ズキンと響くように伝わってくる右足の太ももを意識しながらもできるだけ平然とした顔をして答えた。

このくらい。



だけど聞いたくせに動いたのはキングで。