何で、って聞かれても。
『どうして私に関わろうとするんですか。』
彼女も出来たことですし、私に構う必要なんか無いじゃないですか。
絵美ちゃんを大事にして、絵美に構って貰えば。
――今まで私とキングが当たり前にしていた事が、
キングと絵美ちゃんに代わるだけ。
私はもうキングに何も邪魔されることなんてなくて、
パシられることなんてなくて、
有意義な毎日を――。
「菜月。あのさ――……」
すっと、
こっちへ伸びてくるキングの腕を呆然と見て……。
ピリリリリリ――――
空気を裂くような音に、
ピクと反応したのは私だけではなくて。こちらへ伸ばそうとしていたキングの腕もピタッと空中で止まり、そして帰っていく。
『……電話。』
「あぁ。」
ズボンのポケットへと視線を向けたキング。
そして手がそこへ滑り込んで。



