『…………。』




「じゃ、お借りします。」

『は、え!ちょっと!』

返事をしない私に構わず腕を掴まれ立たされました。



同時に取り上げられたマンガは荒々しくソファーの上に投げ捨てられました。


そのまま引きずられるように家を出ます。




お母さんは笑ってて。笑い事じゃないんですけどっ!

待って…っ、サンダルが……。

かろうじて足に引っ掛かっていると言った状態です。

歩きづらい……。



家を出た瞬間、むっ、と暑く気持ち悪い空気が体を取り巻きます。




暑い……。

『ちょっと、離して下さ、い!』

階段を降りた所で手を振り払うと、解かれた腕。

タッパー片手に振り返ったキングは、

相変わらず涼しげな顔をしていて。



「……何?」



『は?』