『別に。』



喧嘩なんかしてない。



「やっぱり、家族の食事を邪魔しちゃったのが悪かったみたいです。」



カチ、と食べてる途中なのに箸を置いたキング。眉を下げていて。……ずるい。


「そんなこと無いわよ!煌くんいつも一人で食べてるんでしょ?たまには一緒に食べたって……菜月そんなことで怒ってるの?」




『はっ?何で私が――』



「菜月だっていつも一人で食事してたらたまには誰かと食べたいでしょう。」



怒るお母さん。だから、そんなこと思ってないし怒ってないってば。キングへと視線を移せば、関係ないとでも言うようにお茶を飲むキング。グラスに隠れて見えにくいけど、口角。



笑ってるのが見えます。



――ずるい。

さっきのだって絶対演技だもん。




お母さんは騙せても、ずっと傍で見てきた私は分かります。むかつく。



何でそれで私が怒られないといけないの。