『あ、うん……。』


良かったね、と奈留ちゃんが絵美ちゃんに。




私も作り笑顔はしたものの、奈留ちゃんみたいに祝福の言葉は出てこない。


角のボックスに、着替えを置いて、温泉に入る。



お湯に使っても、気持ちは全然よくならない。

むしろ、どす黒い何かがどんどん体内に溜まっていくような……。



脱衣場が談話室化してる。




キャ、キャ、と高い声がこっちまで聞こえてくる中、

隣の奈留ちゃんを見ると浴槽のふちに両腕を置いてそれに顎を乗せた状態で脱衣場とこっちの境目のすりガラスを見つめていました。

『ね……奈留ちゃん。』



「なぁに?」



『絵美ちゃんが言ったこと……本当なの?』

絵美ちゃんが嘘をついてる、なんて思ってない。

ただ、黙り込んだ奈留ちゃんもどこか引っ掛かった表情をしていたから。