王様の、言うとおり




花火片手にそのまましばらく逃げ惑う亮平くんを観察していると。

「……今日“も”睡眠不足っておかしいよね。」

ふとさっき奈留ちゃんが言った言葉を私に言ってきます。



キングが何を言いたいのか分かりますよ。




『昨日はぐっすり眠れました。』

「そうだよね。」



今日“も”睡眠不足なのはキングの方ですね。



これはあれだ、きっと私がキングの為に完徹をするまで言われ続けるのでしょう。




でも、今日は……本当に眠れないかもしれない。

怖い体験をした後、それを何回も思い出してしまうから。

寝ようと目を瞑った瞬間、思い出そうとも思ってないのに脳が勝手に思い出し始めて。



眠れなくなる。




「―――眠れなかったらまた相手してあげても良いよ。」

『え、』

花火に落としていた視線をキングへと上げれば、キングは無表情で花火を見つめていました。



本当に……?



多分、ほぼ眠れないと思います。




相手してくれるのは嬉しいけれど……

キングは昨日も私のせいで寝不足なんじゃ?



このままじゃキングが寝不足で倒れちゃうんじゃ……?