『……懐中電灯……。』



少し見上げれば同じように少し前方の道に視線を向けているキング。


左手が繋がれている状態で、右手……



それも、ケガしている手で懐中電灯を持って大丈夫なのかな。

とりあえず単語を出せば、距離も近く、二人っきりで虫の音以外静かな場所でキングが私の声を聞き落とすはずも無く。



「そんな、ケガしてても懐中電灯を振り回す訳じゃないんだから大丈夫。……と言いたいけど。」



そこまで言って、動いたキングの左手。



私の右手も、キングの前へ。



触れ合う手首が少し動いて、

キングが懐中電灯を持ったのを感じました。



「一応こっちで持っとく。」