投げる、けど。
キングのお母さんのように割れたり危ない物は投げたりしないもん。
クッションくらいだもん。
「さ、夕食もう少しで出来るから2階に行かないで待ってなさい。」
『はぁーい。』
「ちょっとは手伝うくらい言いなさいよ。」
お母さんの言葉を聞きながら、私はソファーの上に体操座りで、クッションに顔を埋める。
―――違うよ、きっと。
キングが無言で暴れていたんじゃない。
キングは、いつも黙って止めようとしてたんだ。
キングに向かって叫ぶのも、物を投げて暴れてたのも、きっと、キングのお母さん。
キングはさっきみたいに、ずっと止めようとして、受け止めてて、で……。



