「…桜花、さん?」
真由の母親は、私に問いかけた。
「…真由のお母さんですか?」
すると彼女は、
「ええ」
と答えた。

彼女は、カバンから空色の封筒を出した。
「あの子が、高校に入学するあなたにって。
葬儀が終わったあと、出てきたの」
それは、最後の手紙だった。
「あの子を支えてくれてありがとう。
私たちは、あの子に優しくできなかったから。
あの子に笑顔をくれて、ありがとう」

彼女は、そう言うと去っていった。
よかったらお墓参りしてね、と告げて。