「千佳子さんおはよ」

俺が千佳子さんに
挨拶をすると
千佳子さんは気まずそうに
目をそらして「はよ」と返した。

ずっと鼻を手で隠している。
手から白いものが覗いている。

「どしたの?」

「べつに」

「その白いのなに?」

「ヒゲ」

いやどう見ても
テッシュだろ。

隣の女子は
大笑い中。

「女の子も
大変だね」

「うん」

そう言って去った。