聡くんの肩越しに、空に一羽の鳥が飛んでいるのが見えた。



スゥーーと深呼吸して息を整える。



「どうして?そんなこと聞くの?」



「否定…しないんだ?」



「……」




「分かってんの?」



「…なにが?」




「相手…先生だよ」



チクンと心が痛んだ。



「知ってるよ…」



聡くんの顔から視線を逸らして空に視線を移した。


さっきまで晴れていた空に雲が影を落とし始めた。



「やめなよ。あの人」


「……」



「あの人…姉ちゃんの彼氏だろう」



目に見えない図太い針が、胸に突き刺さった。