きっと、突然抱きつかれたりされたから、変に意識しちゃっただけだよ。



うん。何かの気のせい。



「ねぇ、もうそろそろ戻ろう?授業始まっちゃうよ」



次は英語だし。遅れたらあの先生ウルサイんだと、フェンスから離れて屋上から出ようとした時だった。



「恵里佳ぁ…」



名前を呼ばれて立ち止まる。


「なに?」


振り返ると、真っ直ぐ見つめる瞳に再びドキンとした。


なんで?ドキンってなるの?


「お前さぁ…」


「うん」


「お前…あの先生のこと好きなの?」


その言葉に、心がギュッと鷲掴みにされたようで、息が出来ない。