「ったく。冗談ばっか言って。そういうとこ、変わってないねぇ」 懐かしいなと昔の記憶にほっこりしていた。 だから、気づかなかった。 彼が、聡くんの瞳が、悲しみの色に染まっていたことを。 「別に。冗談で言ってないけど」 ポツリと呟かれたその言葉。 「えっ?何か言った?」 あたしはちゃんと聞いていなかった。 「別に。なんでもないよ」 そう言うと、彼は再び明るい笑顔を見せてどこかでゆっくり話さないかと、人でごった返してる店内をキョロキョロと見渡した。