金髪男の胸ぐらを掴み顔に殴りかかる聡くん。 鈍い音と共に金髪男の体が膝からガクリと崩れ落ちた。 「この野郎!」 茶髪が後ろから聡くんに殴りかかる。それをスッと避けると、茶髪の体がバランスを崩し倒れそうになる。 バランスを立て直し踏ん張る茶髪の顔を勢いよく殴りつける聡くん。 そこには、あたしが知らない聡くんがいた。 どこか夢物語でも見ているような感覚。 これが現実の世界なのか分からなかった。 「大丈夫か?」 そんな声が聞こえてきて、瞳を左右に揺らしながらその声の持ち主を探した。