冷たい氷水でタオルを濡らして絞ると、あたしの指先までひんやりして気持ちよかった。


水に解けて四角だった氷が丸みを帯びていく。


次第に氷は完全に解けてなくなってしまった。


先生を好きな気持ちも、この氷みたいに解けてどこかに消えてくれればいいのに。


人の気持ちはどうして、消えることができないの?



絞った冷たいタオルを畳み、先生の額にのせる。


気持ちいいのか?苦しげだった先生の顔が少しだけほころんだ気がした。



ドクンドクンドクンドクン…。



高鳴る鼓動。


「すき…すきだよ…先生…」


あたしは小さく呟き…気づいたら、先生の唇に自分の唇を重ねていた。


裏切りの…罪深いキスを…。