今、非常階段で全身を火照らせている。

最上階の役員室フロア。社内でやっと見つけた死角。めぐみはうずくまり、光一は下腹部を熱くしている。

役員室フロアは静寂に包まれている。
でも、目の前の鋼鉄のドアの向こうからは、車の排気音や東京の雑踏の気配が伝わってくる。
平穏な日常の中につくった至福の非日常。
現実となった妄想を味わう最高の瞬間。