ＢＥＳＴ―ＦＲＩＥＮＤ

お茶を入れている彼女に質問をしてみた

『あなたは主人の事が好きなの？』

少しの沈黙の後『豊さんの優しさが好きです。でも奥様と別れてほしいとは思っていません。私はいまの関係で満足なんです。』

爽やかなぐらい、ハッキリとした答えが返ってくる。


『そうなの…。あなたが、そばにいてくれるなら妻として安心だわ……』

彼女は少し意外な様子で
『奥様。私たちのことを認めて下さるんですか？』と尋ねてきた。

彼女は煎れたての紅茶とケ−キをテ−ブルにおくと、目の前のイスに腰を下ろした。

『私が反対したからといって好きという二人のキモチは、お互いに変わらないでしょ？だったら認めて自由に恋愛を楽しむほうがいいんじゃない？人生一度きりなんだし』

昔から、考え方が変だと言われてきたけど…夫が愛してる彼女があまりにも綺麗で好意をもてちゃう自分がいた。

彼女は不思議そうに頷く。

『だから、今のままの関係でいいわよ。私もあなたのキモチがなんとなくわかるから』

『ありがとうございます』

彼女は嬉しそうに微笑んだ。

『主人は何時ぐらいに帰ってくるかしら』

彼女は鞄の中の手帳を開くと『きょうは休みで、近くのスポーツジムに行ってるので、５時には帰ってくると思います』

さすがに秘書兼彼女だ。

時計を見ると４時を過ぎていた。

『それじゃ、私は帰るわね。あなたみたいな方との浮気なら許せるって伝えて…（笑）』
紅茶を一気に飲みほすと荷物を抱えて玄関を出た。

『奥様…ありがとうございます』

笑顔で手を振る彼女が愛しく思えた。

『主人をよろしくね…』

外に出ると横断歩道を渡たったところに、小さな公園が見える。

公園の中にあるベンチに駆け寄ると座っていた俊樹に後ろから抱き着いた。

『おまたせ、俊樹』『優、おかえり』

『旦那ね。やっぱり彼女がいたの。自分の目で確かめたから安心した』

自分の本音を告げると、私たちは周りの目を気にせず大胆にキスを交わした。
優しい風が頬に当たり俊樹は『優と一つになりたい』と言った。

『うん』と頷くと二人で手を繋ぎニューヨ−クの町に消えていった。